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ソロカルの二人で、翼手姿で遊んでいたらどうなるんだろうという話です。←某所の超可愛い翼手カールに触発された人。

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くるくるとまわる。

ぐるぐるとまわる。

落ちていく。 

すれすれで飛び上がる。

飛び上がっていく。

雲よりも高く、どこまでも高く。

最後にまた、ぐるぐると二人で、落ちていった。


……楽しかった!!!



空中遊戯



 澄んだ夜空を、蒼い翼手が飛んでいく。

 身を切るように冷たい風を翼に受けながら、満月の月光の下を、はばたかず滑るように進んでいく。赤い瞳は楽しげに下に広がる大地を見下ろしていた。
 真下には黒い森。進行方向―西側の遥か遠くには海が見え、北側には密集した光の粒が見える。街だ。南側には、草原が広がっている。

 蒼い翼手はくるりと体を横に回転させた。一度羽ばたいてから、また数回、体をくるりくるりと回転させる。その後方、遥か上空で、蒼い翼手を見ている白い影があった。白い翼手だ。金色の長い毛を夜風になびかせながら、蒼い翼手の様子を窺う。
 蒼い翼手と同じ色のその赤い瞳は、やはり同じように楽しげだった。白い影は一度高度を上げてから、翼を折りたたんで一気に急降下した――蒼い翼手に向かって。
 蒼い翼手は空気を掴む感触を楽しむようにまたくるくると回転していたが、上方に感じる気配に反応して回転をやめて、左の翼だけを大きく何度か羽ばたかせた。

 先程まで蒼い翼手がいた場所を、白い影が凄まじい勢いで通り過ぎて行く。蒼い翼手も羽を折りたたんで、その後を追う。白い翼手は地面に背を向け、蒼い翼手の方を振り向くと翼を広げてその場で停止した。
蒼い翼手が目を見開く。が、スピードを緩めることなく、そのまま自分の方に振り向いた白い翼手に突っ込んだ。
 二つの影が一つになり、一度スピードを失ってから、下に向かって落ちていく。白い翼手にしがみつかれ、蒼い翼手はじたばたともがいた。

急激に森の木々が近づいてくる。

 白い翼手は蒼い翼手をいきなり放すと、薄情にも自分だけ急上昇した。蒼い翼手はそのまま落ちて、落ちて――、木の群集の中にまで突入する直前に翼を最大まで広げて、体を水平に戻した。
 ほんの少しでも高度を下げれば、木に体が触れられそうなぐらいのギリギリの高さを飛ぶ。突然の珍客の起こした風に、木の葉がざざぁ、とざわめいた。
 蒼い翼手がちらりと後方を振り向けば、白い翼手が挑発するように、悠々と8の字を夜空に書きながら飛び回っているのが見え、頭の中にはわざとらしく、くすくすと笑う声が聞こえた。

 蒼い翼手が憤然として、音を立てて翼で空気を押し下げると、その風圧に木の葉が円状にくぼむ。一気に高度をあげ、蒼い翼手は大きく右側に旋回して、白い翼手と対峙した。
 そのまま突っ込んでやろうと翼を構えると、頭の中に静かな声が響き渡った。

      風が、来ます。

 その声にはっとして、蒼の翼手は心を落ちつかせようと努めた。すると、確かに相手の言うとおりに、「風」が迫っているのを、本能が感じ取る。
 大きく両方の翼が伸ばされ、蒼い翼手は体を軽く右側に傾ける。相手もまた翼を大きく伸ばし、こちらは体を左側に傾けた。

      ああ、風だ。

 蒼い翼手が、相手の頭にそう告げた直後、真横からの空気の津波が下方の木々を大騒ぎさせながら、二つの翼手の体を一気に上へ上へと押し上げた。風を全身に感じ、二つの体はうまく使いながら高く高く飛び上がる。

 もっと高く。

 もっともっと高く。

 今なら月さえ掴みに行けるのではないかと思いながら、蒼い翼手は森の全体像が小さくなっていくのを見た。
 高度が安定してくると、白い翼手が宙返りしたりしながら遊んでいるのが見えて、蒼い翼手も無限に広がる風の海の中を自由に泳ぎまわった。

くるくるとまわる。

ぐるぐるとまわる。

宙返り。

 時折相手をからかうように、爪先で相手の体に触れたり、身を寄せたりしながら、二つの影は黒い“水”の中を、遊ぶ。


*    *    *


 存分に風を感じてから、どちらが先というわけでもなく、夜空で遊んでいた二つの影は高度を下げ始めた。森では枝が引っかかったりしてやっかいなので、野原になっている南側をめざす。(一度蒼い翼手は、白い翼手の忠告を聞かずに森の中に急降下して、枝に翼を刺して抜けなくなったことがあった)
 始めはゆっくりゆっくりと高度を下げていたが、そのうち蒼い翼手は面倒になってきて、森の端の上空に差し掛かったあたりで翼をたたみ、体を下方に傾けて一気に急降下した。
 その後を、白い翼手も翼を折りたたんで続く。

 急降下する感覚に背筋をぞくぞくさせながらも、蒼い翼手は高度に注意を払う。いくら翼手と言えども、この速度のまま地面に激突(しかも頭から!)すれば、命の保証はない。

       今だ。

 地面が目の前に迫るのを見ながら、蒼い翼手は翼を伸ばせるだけ伸ばし、空気を受ける膜の部分を最大限まで広げた。
 一気に、減速する。
 丁度下へのベクトルがゼロになると同時に脚を下に伸ばし、小高い丘の上に蒼い翼手は着地した。
 蒼い翼手は後ろを振り向いた。
 その姿はほぼ一瞬で、長い黒髪の青年へと変化する。と同時に、青年の目が驚愕で大きく見開かれた。
 白い翼手が、まだスピードのあるまま、自分目掛けて突っ込んでくる。

「ば……!!」

 黒髪の青年が言葉を発する前に、白い翼手はにっこりと微笑む金髪の青年へと姿を変えた。
 二人は、見事に激突した。

*    *    *

ぐるぐると回る。
ぐるぐると回る。

 丘の下り坂を、激突された方とした方が、一つの塊になって転がりといていく。髪に顔に全身に、雑草をたっぷりと巻き込みながら、転がり落ちていく。やがて坂がなだらかになって、塊はしばらく転がるとやがて停止して、塊は二つに分かれた。
 二人の青年は仰向けになって、夜空をしばらく何も言わずに眺めた。
 一人は余裕の笑みで、一人は荒く息をしていた。
「楽しかったですねぇ…」
 一人が呟くと、
「最後以外はな……」
 一人が地を這うような声で言った。
「スリリングだったでしょう?…ああいうのが、お好きだと思って」
 一人が悪びれずに言うと、一人は首だけ動かして、相手の方を睨み付けた。一人はしばらく普段どおりの微笑を浮かべてから…、顔を奇怪な表情に歪めた。
「ぷっ…」
 黒髪の青年はその顔に吹き出し…、
「あははははははっ!」
 堰を切ったように、笑い始めた。
 涙を流しながら笑う青年に、もう一人も楽しげに微笑んで、
「あははははははっ!」
 何年ぶりだろうと思いながら、声をあげて笑った。
 しばらく草原に、二人の笑い声が響き渡っていた。





終わり♪





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2006/12/11
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