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37話直後のソロモンSSS。ソロカル。
「狂おしいまでに」を視聴直後に泣きながら書きました。

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おやすみなさい



 「ソロモン……っ!!」
 
 怯え、震えながら名を呼ぶ声に、自分は彼を直視することができなかった。ただ、目を反らし、「怖がらないで」なんて、そんなことしか言ってやれずに。
 あの部屋の中で、カールが頼れた者は、ただ一人。
 自分は、裏切ったのだ。
 カールはシュヴァリエになったあと、その事については何も言わなかったし、実に楽しそうに生きていた。
 主人のディーヴァに似て、自分の本能の赴くままに、自由奔放で。、
 真っ直ぐに自分の望みに向かって走っていく姿が、羨ましかったぐらいだ。

 だから、もう、言う必要などないと思った。
 どれだけ彼が大切だったか。
 そして自分に、その言葉を言う資格はなかった。

 必死に助けを求めてきた彼を、裏切ったあの瞬間から。

 だから、ただ、見守ろうと決めた。
 身体を痛めつけられて、嬲られて、それでも、真っ直ぐに生きていたように見えたから、「彼は強い人だ」と勝手に決め付けて。
 八十年近くも一緒にいて、なぜ今まで彼の孤独に気がつかなかったのか。
 ディーヴァに異常なぐらいに愛情を向ける姿に、何故疑問をもたなかったのか。なぜ、あれ程までに小夜に固執する姿を、「生きがい」と片付けてしまったのか。

 気づいてさえいれば、彼に一番必要なものを、自分は与えることができたのに。

  ねぇ、カール。
  知っていますか?あなたとのいる時間が、どれだけ心地よかったか。
  どれだけ、幸せだったか。

「あなたと出会えて、僕は本当に幸せでした」

 一番伝えたくて、伝えられなかったその言葉こそ、自分が言わなければならなかった言の葉だったのだろう。

いや、ただ一言でよかったのだ。

 「いつも、見てますよ」

と。

 もうその言葉は、届かない。

 自分が願うことができるのは、たった一つだけ。



 
  せめて、安らかに。……おやすみなさい。




END




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2006/6/25
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