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サンタの孤独とその終わり
「サンタの孤独とその終わり」
ソロカルSS。PCバラバラ事件で遅れました…(涙
-----------------------------
サンタはイヴの夜、誰よりも孤独なのでしょうか。
サンタの孤独とその終わり
年が暮れる1週間程前。
共に夜を過ごしたい相手がいるにも関わらず、日付が変わるまで仕事をしなければならない者達がいる。
早々と仕事を終えて早々と帰っていく同僚や、街中で楽しそうに歩いていく人々を見るたび、彼らは、自分のパートナーは今どんな気持ちでいるのだろうと溜息をついてしまう。
しかも、ずっと前から一緒に過ごそうと決めていたのに、こちらがイヴ直前になってキャンセルしたのだとしたら? 相手はこの日の為になんとかして時間を空けておいてくれたというのに。
自分の寂しさよりも考えてしまうのは、雪空の下で独り、相手がとぼとぼと沢山の笑顔とすれ違いながら歩いているのかもしれないということだ。
ソロモン・ゴールドスミスはまさに、そのことで悩める者の一人だった。
カールは今どうしてるんだろう、と、エッフェル塔を見下ろすことのできる自分のオフィスで、ソロモンは思った。
そんな時、
『CEOの今夜のご予定は?』
と、仕事の後に参加する親族をあげてのパーティーに心躍らせていた社員が、うっかりソロモンに訊いてしまい、部屋の空気が凍りついた。
ソロモンは社員その一の方を振り返ると、いつもと変わらない笑顔のまま動きを止めた。
ソロモンの沈黙と口元で固まった微笑の意味を社員は悟って、頭を下げて慌てて退散した。
ソロモン専用のオフィスから人がいなくなると、ソロモンは窓の外を見た。
夕方が、夜へと変わりつつあった。
サンタと呼ばれる者が本当にいるとしたら、凍てつくこの空を今夜彼は飛び回るのだろうとソロモンは思う。たった一人で、幸せそうな人々を目の当たりにしながら、自分は愛しい人に寂しい想いをさせているというのに、サンタはそれでも不平ひとつ言わずに自分の役目を果たさなければならない。
* * *
ヴァン・アルジャーノと合流して、ソロモンは他社との会議に向かう。
「おや、麗しのCEOがご機嫌斜めのようだ。…お気持ちは、わかりますが」
ヴァンは揶揄しながらも、ソロモンを同情的な表情で見つめた。
「何故敢えて、今夜なのでしょうね?」
ヴァンの妥当な疑問に、ソロモンは苦笑を返すしかなかった。何故イヴの夜に会議を開かなければいけないのだろう、と大半の参加者は考えているだろう。それこそ必要物資の価格急騰など理由は様々あって、頭では理解していたが、全員が心から納得したわけではない。
そんな会議に数時間耐えてから、ソロモンはヴァンを従えて自分のオフィスに戻って行った。
* * *
会議が終わってから、ソロモンの機嫌は回復していた。
「お疲れ様です。では私は先に失礼しますよ、ソロモン。……とてもあなたには及びませんが、引く手数多なので」
皮肉とも謙遜ともとれる言葉を投げながら、ヴァンは会議のサマリーをファイルに入れてソロモンに手渡した。
「僕の方は寂しいものですよ。今日も独りです。残念ながら」
「ご冗談を。あなたが、独り?」
ヴァンはおかしそうに笑った。
「今から電話しても、いくらでも捕まりそうなものを」
「…本命との約束があったのですが、昨夜にキャンセルしましてね…。謝る時間も無かった上に、会議の終わる時間がわかりませんでしたから、どこかで待っていてもらうわけにもいかなくて。…今から連絡しても捕まるかどうか」
「これはこれは。王子様が困っておられるわけだ」
ヴァンが喉の奥でくくっと笑う。
「姫あっての王子ですよ」
「『姫あっての王子』!名言だ。覚えておきましょう。ではこれで」
ヴァンが部屋から出ようとすると、
「ねぇ『ヴァン』」
ソロモンが声をかけた。
「はい」
「もう少し『ヴァン』の仕草を勉強した方がいいと思いますよ。視線の配り方とかをね。意外に彼は僕の顔色を窺ってます。…あなたとは違う意味で」
ヴァンの肩がぴくりと動いた。
「……なるほど?」
「着替えたら、戻って来てくれるんでしょう?」
「…どうでしょうね」
「信じて待ってますよ」
数分後。
「…いつ、わかった?」
カールがソロモンのオフィスのドアを開けながら言った。カールは黒いロングコートを着て、深い落ち着いた紫色のマフラーを首に巻いている。髪は結んでいなかった。
「飴に気づいた時から…割と最初です」
ソロモンが即答すると、カールは「ああ!」と手を打った。
「すっかり忘れていた」
「そうです…。あの人は意外に小心者ですから、大きな会議の前だと常に飴を舐めていますからね…。でも今日の『あなた』は会議前、一粒も舐めていなかった」
「次からは気をつけよう」
「やめてください。あまり擬態を乱用しないでくださいよ」
「いいだろう?私は楽しめる」
「どうします?僕が混乱して、この世の全てがカールに見えるようになって、社員全員にキスして回るかも」
「……会社をヤドリギだらけにでもするつもりか?」
行くぞ、というカールの後に続きながら、ソロモンもオフィスをでる。
「ねぇ、カール」
ソロモンが呼び止めると、カールは廊下で立ち止まった。
「なんだ?」
「ありがとう。……わざわざ、迎えに来てくれて」
「………」
カールはソロモンを振り返らないまま、
「そういうことにしておいてやる」
妙に抑揚のない声で言って、
「一人で待つのは苦手なんだ」
小さな声でつけたした。
* * *
雪が静かに舞うパリの街を二人で、歩く。
普通なら車で帰るところだが、互いに何も言っていないのに、二人は会社の建物を自分達の足で出ていた。
二人で少し歩きたい、と思っていたのは自分だけではなかったらしい。
カールはソロモンの斜め前を歩きながら、催促するように左手を後ろにほんの少し伸ばした。
(かわいい人だ)
ソロモンはその手をとって、少し歩を早めてカールの隣に並ぶ。
カールはソロモンと逆の方を必死に見ていた。
くすくすとソロモンが笑うと、
「何がおかしい」
「いえ。イベントって大事だなぁ…と」
カールが自分から手をつなごうと催促してくることはあまりない。
これがイヴの魔法だろうかと思いながら、
「ねぇカール。『あなたのサンタ』は、何をあなたに渡すと思いますか?」
ソロモンは訊いた。
「特に予想はしていない。それよりも、『私のサンタ』は、無償で何かをくれたためしがないのが気がかりだ」
「誰も、無償で何かをあげる人なんていませんよ。誰だって見返りが欲しい。…ただ、求める見返りの形が違うだけです」
「『私のサンタ』が望む見返りはなんだ?」
カールが振り向くと、ソロモンは意味深に、にっこりと笑った。
カールは再び明後日の方向を見た。
『可愛い人が、とびきりの笑顔で笑ってくれたら、嬉しいものですよ』
ソロモンはカールの頭の中に話しかける。
『…そう言われて、私がすぐにお前が望むように笑える男だったら、お前は今、私の横にはいないだろう?』
『でしょうね』
ソロモンはカールの手を強く握った。
「笑ってくれれば一番だけれど、あなたが嬉しいと思ってくれれば、それが十分な見返りです」
そう言ってソロモンは夜空を見上げた。
サンタがたくさんのプレゼントをソリに乗せて走りながら、次にどのプレゼントをどこに渡せばいいのだろうと、泣きそうになりながら必死に確認している姿が頭に浮かんだ。何故自分は毎年こんなことをしなければいけないのだろうと思っているのかもしれない。愛しい人を一人で待たせて、何がサンタだと思いながら。
「皆に愛されるサンタでなくていいから、僕はあなただけのサンタでありたい。イヴの夜だけではなくて。これから、ずっと」
ソロモンはぽつりと呟いた。だがそう願っても、生きていく以上は好むと好まざるとに関わらず、不特定多数の誰かの為のサンタであることを迫られる。トナカイを駆って、寒空を飛んでプレゼントを配り続けなければならない。たった一人で。
「今までだって、そうだったじゃないか」
え? とソロモンは言った。
「今まで、ずっとお前は私だけのサンタだった。きっとこれからもそうなんだろう…というか、そうであって欲しい」
語尾が小さくなっていくカールの言葉を愛しいと思いながら、ああ、とソロモンは納得した。
例えどんなに大勢の人間にプレゼントを配って歩いても、
サンタの心にはきっと、
愛しい人の存在があるのだろう。
だから、サンタは飛んで行ける。
手綱を握る手が悴んでも、皆がご馳走を食べているのに自分は何も食べられずに夜を駆けていても、サンタは最後に渡す愛しい人へのプレゼントを大切に抱えて、手渡す瞬間を心待ちにしている。
最後の最後に、心も身体も愛しい者だけのサンタになれる瞬間があるから、プレゼントを配り続けることができるのだ。
他でもない、『あなた』に最高のプレゼントを渡したいから、頑張れる。
それこそが、サンタの受け取る、最幸の見返り。
『あなたを抱きしめて、キスしたい気分です』
『頼むからそれは屋内にしてくれ』
どこかのスイートにでも泊まりましょうか、とソロモンが訊くと、カールは、そうだな、答えた。
つないだ手の暖かさを感じながら、ソロモンは走り出したい気持ちを抑えたが、その代わりに口からは自分の心が滑り抜けていた。
「カール。……愛してます」
「………」
カールはソロモンの言葉を聞いて一呼吸おいてから、
「知ってる」
そう答えた。
「ご存知で良かった」
当初の予定は違ってしまったけれど、今日はどんな夜にしよう?
乾杯をしながら、イヴの祝いの言葉を伝えたら、また何度でも「愛している」と言おう。カールは返答に困るかもしれないけれど。
今宵、サンタはいつ愛しい人のいる場所に帰ることができるのだろうと思う。
たとえ、どんなに帰るのが遅くなっても、
願わくは、たった一人の為だけのサンタに戻れる瞬間が、幸せなものでありますよう。
END
BGM「約束はいらない」
屋敷に帰ると他の兄弟と主がフィーバーしているので、この後ホテルです。
そして次の日、本物のヴァンが1日分記憶が飛んだ状態でどこかで目を醒ます筈。
そしてどこかにスター●●ーズのパロがあるのでした。
2007/12/25
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「サンタの孤独とその終わり」
ソロカルSS。PCバラバラ事件で遅れました…(涙
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サンタはイヴの夜、誰よりも孤独なのでしょうか。
サンタの孤独とその終わり
年が暮れる1週間程前。
共に夜を過ごしたい相手がいるにも関わらず、日付が変わるまで仕事をしなければならない者達がいる。
早々と仕事を終えて早々と帰っていく同僚や、街中で楽しそうに歩いていく人々を見るたび、彼らは、自分のパートナーは今どんな気持ちでいるのだろうと溜息をついてしまう。
しかも、ずっと前から一緒に過ごそうと決めていたのに、こちらがイヴ直前になってキャンセルしたのだとしたら? 相手はこの日の為になんとかして時間を空けておいてくれたというのに。
自分の寂しさよりも考えてしまうのは、雪空の下で独り、相手がとぼとぼと沢山の笑顔とすれ違いながら歩いているのかもしれないということだ。
ソロモン・ゴールドスミスはまさに、そのことで悩める者の一人だった。
カールは今どうしてるんだろう、と、エッフェル塔を見下ろすことのできる自分のオフィスで、ソロモンは思った。
そんな時、
『CEOの今夜のご予定は?』
と、仕事の後に参加する親族をあげてのパーティーに心躍らせていた社員が、うっかりソロモンに訊いてしまい、部屋の空気が凍りついた。
ソロモンは社員その一の方を振り返ると、いつもと変わらない笑顔のまま動きを止めた。
ソロモンの沈黙と口元で固まった微笑の意味を社員は悟って、頭を下げて慌てて退散した。
ソロモン専用のオフィスから人がいなくなると、ソロモンは窓の外を見た。
夕方が、夜へと変わりつつあった。
サンタと呼ばれる者が本当にいるとしたら、凍てつくこの空を今夜彼は飛び回るのだろうとソロモンは思う。たった一人で、幸せそうな人々を目の当たりにしながら、自分は愛しい人に寂しい想いをさせているというのに、サンタはそれでも不平ひとつ言わずに自分の役目を果たさなければならない。
* * *
ヴァン・アルジャーノと合流して、ソロモンは他社との会議に向かう。
「おや、麗しのCEOがご機嫌斜めのようだ。…お気持ちは、わかりますが」
ヴァンは揶揄しながらも、ソロモンを同情的な表情で見つめた。
「何故敢えて、今夜なのでしょうね?」
ヴァンの妥当な疑問に、ソロモンは苦笑を返すしかなかった。何故イヴの夜に会議を開かなければいけないのだろう、と大半の参加者は考えているだろう。それこそ必要物資の価格急騰など理由は様々あって、頭では理解していたが、全員が心から納得したわけではない。
そんな会議に数時間耐えてから、ソロモンはヴァンを従えて自分のオフィスに戻って行った。
* * *
会議が終わってから、ソロモンの機嫌は回復していた。
「お疲れ様です。では私は先に失礼しますよ、ソロモン。……とてもあなたには及びませんが、引く手数多なので」
皮肉とも謙遜ともとれる言葉を投げながら、ヴァンは会議のサマリーをファイルに入れてソロモンに手渡した。
「僕の方は寂しいものですよ。今日も独りです。残念ながら」
「ご冗談を。あなたが、独り?」
ヴァンはおかしそうに笑った。
「今から電話しても、いくらでも捕まりそうなものを」
「…本命との約束があったのですが、昨夜にキャンセルしましてね…。謝る時間も無かった上に、会議の終わる時間がわかりませんでしたから、どこかで待っていてもらうわけにもいかなくて。…今から連絡しても捕まるかどうか」
「これはこれは。王子様が困っておられるわけだ」
ヴァンが喉の奥でくくっと笑う。
「姫あっての王子ですよ」
「『姫あっての王子』!名言だ。覚えておきましょう。ではこれで」
ヴァンが部屋から出ようとすると、
「ねぇ『ヴァン』」
ソロモンが声をかけた。
「はい」
「もう少し『ヴァン』の仕草を勉強した方がいいと思いますよ。視線の配り方とかをね。意外に彼は僕の顔色を窺ってます。…あなたとは違う意味で」
ヴァンの肩がぴくりと動いた。
「……なるほど?」
「着替えたら、戻って来てくれるんでしょう?」
「…どうでしょうね」
「信じて待ってますよ」
数分後。
「…いつ、わかった?」
カールがソロモンのオフィスのドアを開けながら言った。カールは黒いロングコートを着て、深い落ち着いた紫色のマフラーを首に巻いている。髪は結んでいなかった。
「飴に気づいた時から…割と最初です」
ソロモンが即答すると、カールは「ああ!」と手を打った。
「すっかり忘れていた」
「そうです…。あの人は意外に小心者ですから、大きな会議の前だと常に飴を舐めていますからね…。でも今日の『あなた』は会議前、一粒も舐めていなかった」
「次からは気をつけよう」
「やめてください。あまり擬態を乱用しないでくださいよ」
「いいだろう?私は楽しめる」
「どうします?僕が混乱して、この世の全てがカールに見えるようになって、社員全員にキスして回るかも」
「……会社をヤドリギだらけにでもするつもりか?」
行くぞ、というカールの後に続きながら、ソロモンもオフィスをでる。
「ねぇ、カール」
ソロモンが呼び止めると、カールは廊下で立ち止まった。
「なんだ?」
「ありがとう。……わざわざ、迎えに来てくれて」
「………」
カールはソロモンを振り返らないまま、
「そういうことにしておいてやる」
妙に抑揚のない声で言って、
「一人で待つのは苦手なんだ」
小さな声でつけたした。
* * *
雪が静かに舞うパリの街を二人で、歩く。
普通なら車で帰るところだが、互いに何も言っていないのに、二人は会社の建物を自分達の足で出ていた。
二人で少し歩きたい、と思っていたのは自分だけではなかったらしい。
カールはソロモンの斜め前を歩きながら、催促するように左手を後ろにほんの少し伸ばした。
(かわいい人だ)
ソロモンはその手をとって、少し歩を早めてカールの隣に並ぶ。
カールはソロモンと逆の方を必死に見ていた。
くすくすとソロモンが笑うと、
「何がおかしい」
「いえ。イベントって大事だなぁ…と」
カールが自分から手をつなごうと催促してくることはあまりない。
これがイヴの魔法だろうかと思いながら、
「ねぇカール。『あなたのサンタ』は、何をあなたに渡すと思いますか?」
ソロモンは訊いた。
「特に予想はしていない。それよりも、『私のサンタ』は、無償で何かをくれたためしがないのが気がかりだ」
「誰も、無償で何かをあげる人なんていませんよ。誰だって見返りが欲しい。…ただ、求める見返りの形が違うだけです」
「『私のサンタ』が望む見返りはなんだ?」
カールが振り向くと、ソロモンは意味深に、にっこりと笑った。
カールは再び明後日の方向を見た。
『可愛い人が、とびきりの笑顔で笑ってくれたら、嬉しいものですよ』
ソロモンはカールの頭の中に話しかける。
『…そう言われて、私がすぐにお前が望むように笑える男だったら、お前は今、私の横にはいないだろう?』
『でしょうね』
ソロモンはカールの手を強く握った。
「笑ってくれれば一番だけれど、あなたが嬉しいと思ってくれれば、それが十分な見返りです」
そう言ってソロモンは夜空を見上げた。
サンタがたくさんのプレゼントをソリに乗せて走りながら、次にどのプレゼントをどこに渡せばいいのだろうと、泣きそうになりながら必死に確認している姿が頭に浮かんだ。何故自分は毎年こんなことをしなければいけないのだろうと思っているのかもしれない。愛しい人を一人で待たせて、何がサンタだと思いながら。
「皆に愛されるサンタでなくていいから、僕はあなただけのサンタでありたい。イヴの夜だけではなくて。これから、ずっと」
ソロモンはぽつりと呟いた。だがそう願っても、生きていく以上は好むと好まざるとに関わらず、不特定多数の誰かの為のサンタであることを迫られる。トナカイを駆って、寒空を飛んでプレゼントを配り続けなければならない。たった一人で。
「今までだって、そうだったじゃないか」
え? とソロモンは言った。
「今まで、ずっとお前は私だけのサンタだった。きっとこれからもそうなんだろう…というか、そうであって欲しい」
語尾が小さくなっていくカールの言葉を愛しいと思いながら、ああ、とソロモンは納得した。
例えどんなに大勢の人間にプレゼントを配って歩いても、
サンタの心にはきっと、
愛しい人の存在があるのだろう。
だから、サンタは飛んで行ける。
手綱を握る手が悴んでも、皆がご馳走を食べているのに自分は何も食べられずに夜を駆けていても、サンタは最後に渡す愛しい人へのプレゼントを大切に抱えて、手渡す瞬間を心待ちにしている。
最後の最後に、心も身体も愛しい者だけのサンタになれる瞬間があるから、プレゼントを配り続けることができるのだ。
他でもない、『あなた』に最高のプレゼントを渡したいから、頑張れる。
それこそが、サンタの受け取る、最幸の見返り。
『あなたを抱きしめて、キスしたい気分です』
『頼むからそれは屋内にしてくれ』
どこかのスイートにでも泊まりましょうか、とソロモンが訊くと、カールは、そうだな、答えた。
つないだ手の暖かさを感じながら、ソロモンは走り出したい気持ちを抑えたが、その代わりに口からは自分の心が滑り抜けていた。
「カール。……愛してます」
「………」
カールはソロモンの言葉を聞いて一呼吸おいてから、
「知ってる」
そう答えた。
「ご存知で良かった」
当初の予定は違ってしまったけれど、今日はどんな夜にしよう?
乾杯をしながら、イヴの祝いの言葉を伝えたら、また何度でも「愛している」と言おう。カールは返答に困るかもしれないけれど。
今宵、サンタはいつ愛しい人のいる場所に帰ることができるのだろうと思う。
たとえ、どんなに帰るのが遅くなっても、
願わくは、たった一人の為だけのサンタに戻れる瞬間が、幸せなものでありますよう。
END
BGM「約束はいらない」
屋敷に帰ると他の兄弟と主がフィーバーしているので、この後ホテルです。
そして次の日、本物のヴァンが1日分記憶が飛んだ状態でどこかで目を醒ます筈。
そしてどこかにスター●●ーズのパロがあるのでした。
2007/12/25
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