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 ソロモン×十代カールSS。
 ラブラブを書きたかったのですが…。ちょいLOVEぐらいです。短めです。素直カールです(震)

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まだ、あなたが人間だった時……。



緑のざわめき



 初夏。
 長く歩けば汗ばむような陽光の中、連なる木々の葉が、これからやってくる夏を予感して、歓迎のざわめきをあげていた。
 ソロモンはそよ風に金髪を撫でられながら、森の奥へ奥へと向かう。
 遮るものの無い空気を通って容赦なくやってくる日差しも、森の奥深く入ってしまえば、優しい木漏れ日となって、木々のつくる陰を柔らかく照らしていた。
 ソロモンはある木の前で立ち止まると、太い枝を見上げた。
 そこでは幹に背を預けて、アオザイを着た十代半ばぐらいの少年が座っていた。髪留めを何もつけていない、肩より少し長めの黒髪。
「カール、こんなところにいたんですね」
「……ソロモン」
 カールは眠たそうに言ってから軽く伸びをして、脚を枝に引っ掛け、そこからぶら下がった。
 丁度ソロモンの目線の高さと同じ位置にカールの目が来る。
天地が逆転したカールの視界は、殆どソロモンの顔で占められていて、真っ直ぐな髪は全て、重力にしたがって地面へ向かって垂れた。
「もう、時間か?」
「まだですが…少し余裕を持っておかないと…ところでカール」
「うん?」
「気をつけてくださいね。この高さでも、そのまま落ちたら首の骨が折れますよ」
「…折れたら死ぬか?」
 本当にわからない、といった感じで、カールは尋ねた。
「かなりの確率で」
「試してみるか?」
 カールは楽しそうに笑う。
「……何をです」
「本当に死ぬかどうか!」
 素晴らしい名案を思いついた、とばかりに得意げに手を叩くカールに、
「死にますって…試してみたいんですか?」
 ソロモンは心底呆れて言った。
「どうやったら死ぬのかとか、色々教えてもらったが…。まだよくわからない。人が死ぬところを見たことないし、死なない奴しか周りにいない」
「…あと五年か十年の辛抱ですから、言われた通りに大人しくしてればいいんです」
「五年、十年って結構長いぞ」
 カールは不満そうに腕を組んだ。
「シュヴァリエになったら、いくらでも時間はありますよ。外の世界にも、いつだって出て行っていいんです。…その前に死んだらあなたの時間はゼロになりますが」
 ふーん、とカールは他人事のように言った。
「カールは、怖がらないんですね。死ぬことを」
「…『死ぬ』ということ自体よくわからん」
 そう言って、木からぶら下がったまま、しばらく考える。
「ソロモンは」
「はい?」
「僕が死んだら困るんだろう?アンシェルに怒られる」
 ソロモンは苦笑しながら、カールの頬を包み込むようにして、そっと触れた。
「それだけだと…『困る』だけだと、本気で思ってます?」
「…いや?」
 にぃ、とカールは歯を見せて笑った。
「…いつからそんなに意地悪な人になったんでしょうね」
「お前に染められたんだ」
 悪戯っぽい笑みを浮かべるカールの唇に、ソロモンは少し背伸びをして、口づけた。カールはソロモンの頭の後ろに手をまわして、それに応える。しばらく、互いに啄ばむように口づけてから、
「…答えはこれで満足ですか?」
 ソロモンが聞くと、
「多分な」
 カールは短く言って、枝の上に戻った。
「シュヴァリエになったら」
 枝に抱きつくように腹ばいになって、カールは訊く。
「色々教えてくれるんだろう? 新しいことを」
「ええ。何を最初に知りたいですか?」
 カールは意味ありげに口元に笑みを浮かべてから、ソロモンに向かって枝から飛び降りた。
 ソロモンは腕を伸ばして、カールの体を受け止める。まだ成長途中のその身体は、ソロモンが思っていたよりもだいぶ軽かった。
 カールはソロモンの唇に触れるだけのキスをして、
「まだ、機密事項」
 柔らかく微笑んだ。




END




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2006/5/20
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