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 「紳士は黒髪がお好き?」パラレル。多少ソロカルですが、ソロカル未満ぐらいです。
 ソロカルと「その他」の中間ぐらいですね。
 アルバイトしているカールが書きたかったのです(笑)

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紳士は黒髪がお好き?



 ラストオーダーは22:30、閉店は23:00。
 今は、22:25。
「ありがとうございましたー」
 十代後半ぐらいの客がいなくなり、店の中から客の姿が消えた。駅から近い筈なのだが、改札と逆方向なのと、人通りの少ない区画にあるせいで、行列ができるレストラン、とまでは行かないが、リーピーターの多い店だ。

 店長のインテリアの趣味(そしてもちろん料理も)が若い女性に受けているらしく、昼間はだいぶ混むと聞いたが、夕飯時が終わったあたりから閉店ぐらいまでのシフトにしか入ったことがないので、この店が混んでいるとことは見たことがない。決して治安のいい地域ではないので、この時間ともなると客は少ないのだ。
 テーブルを軽く拭いてから、私は入り口近くにあるレジの前で、一応次の客を待つ。
 ラストオーダーまであと2分。
 早く2分たってくれないかと思い始めたとき、ドアが開いた。
「こんばんは」
 少し息を切らせながら、入ってきた客は、私が予想したとおりの人物だった。癖のある金髪に、透き通った碧眼。
 忘れもしない、数ヶ月前に「メニューにのっていませんが、貴方はおいくらですか?」と、私に訊いてきた男だ。
 その時は「非売品です」と軽くあしらったのだが、それ以来、毎週毎週、この時間になると来るのだ。この男が。

『髪留め外して見せてくれませんか』
『仕事中なので、お見せできません』
『デザートのケーキは…』
『あなたで』
『召し上がられては困ります』

 この手の会話を一体何回したのだろう、と思いながら、
「…いらっしゃいませ」
 私は店員として必要最低限の微笑を浮かべて、(どう考えても一人だろうが)、お一人様ですか、お好きな席へどうぞ、と、これもまた店員として基準レベルぎりぎりの口調で言った。(私にも店員としてプライドがある)

 奴がメニューを決めるのが遅いのはわかっているので、
 私は厨房に小走りに入った。
「…あ、またあの人が来たの?」
 厨房にいた店長の問いに、憂鬱に頷くと、
「まぁ、でも一言多いだけでしょ?変な嫌がらせするでもなし、しかもいっつも高いもの注文してくれるのよね♪それに…、」
 店長は壁際からあの男のほうを窺った。
「結構可愛いし…私なら食べちゃうんだけどねぇ…ⅴ」
 厨房の奥から、なにやら咳払いの音が聞こえた気がするが、私は気にしない。気にしたくない。
「つきあっちゃえばいいのに…けっこういい服着てるし」
 またしても厨房の奥から咳払い。いいのかコックが厨房で咳して。
「あ、そうだv」
 店長は何かを思いついたように、客の元へと向かった
 私と、憮然とした表情で奥からでてきたの黒人コックは、壁際からその様子を窺った。
 店長は小声で客と話し始めた。
 その内容はわからないが、二人とも微笑を浮かべている。

 コックが壁に手をやたらと強く押し付けている気がするが、私はそれを視界からシャットアウトしようと、全力で努力する。
 しばらくして店長が、
「カールー」
 と言って手招きを始めたので、仕方なく私は二人のいるテーブルへと向かった。
「ソロモンさんと相談したんだけど」
 店長がクスクス笑いを始めたので、私は嫌な予感がした。
「カール、今日はもうあがりでいいから、ソロモンさんとお食事してⅴ」
「………」
「ああ、心配しなくていいわよ!準備は全部私とジェイムズでやるから♪
二人でゆっくり話しなさいな。お客と店員としてじゃなくて」
 唖然としていると、さあさあ、と無理やり座らされる。
 ごゆっくり~~と言われ、私はソロモンと言われた男と二人、取り残された。






END



いくらシフトを変えてもソロモンが追いかけてきそうです。
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2006/05/25
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