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ほんわか童話系ソロカルSS。
「Trick or treat!」と多少リンクしています(本当に多少)。
痒い、痒いですよ。後半は特に。
かぼちゃの夜の夢
ソロモンは、とっても悪い人でした。平気で人に嘘をついたり、裏切ったりする極悪人で、ついに天国からも、地獄からも、仲間からも締め出されてしまいました。
『光のない迷宮の中を永久に彷徨うがいい』
ソロモンは、迷宮に閉じ込められてしまいました。
そして真っ暗な闇の中を、たった一人で生きていくことになりました。
何十年、何百年たったのかわかりません。
ずっとずっと、一人でした。
寂しさだとか、孤独だとか。
そんなものを一度も感じたことがなかったはずなのに、
ソロモンは「誰か」にいて欲しくて堪らなくなりました。
その様子を、悪魔の一人、カールがずっと眺めていました。
悪魔は、迷宮をどこからでも自由自在に入ることができました。
カールは偶然、迷宮を飛び回っていた時に、ソロモンを見つけたのです。
悪魔達は全く光の無い闇の中でも、ものを見ることができます。
闇の中で孤独に耐え続けるソロモンを見て、カールはなんだかソロモンが哀れに思えてきたのです。
カールが話しかけると、ソロモンはとても驚きました。
ソロモンからはカールが全く見えないので、カールは「ここだ」と言ってソロモンの手を握ってやりました。
ソロモンは話し相手ができてとても嬉しそうでした。
二人は、色んな話をしました。
そして、カールは迷宮の秘密をこっそり教えてあげました。
この迷宮は、たとえ出口にたどり着いても、ドアを光で照らさない限り、ドアが開くことはない。そして、悪魔以外は扉からでることでしか、この迷宮からでられないのだ、と。
「明かりを持ってきてやる。あとは自分でなんとかしろ」とカール言いました。カールは一度地獄へ帰りました。決して消えることない地獄の炎をランタンの中に入れて、それをソロモンに渡そうとしました。
するとソロモンは、「明かりはいらないからあなたがほしい」と言いました。
聞いてなかったのか。明かりがないとドアは開かないんだぞ。
地獄の仕事もある、いつまでもここにはいられない。
それに明かりがいらないなら何故先に言わなかったんだ、とカールが言うと、
「ほんの一度でいいから、あなたの顔が見たかったんです…明かりがないと見られないでしょう?」
とソロモンは言いました。
「でも、あなたが明かりを取りに行っている間、本当に寂しかったんです。…もうあんな思いはしたくありません」
と、泣きそうな声で言いました。
一人ぼっちのソロモンがあまりにも可哀相だったので、カールはソロモンと、もう少しだけ一緒にいてあげることにしました。
暖かい光に照らされて、二人は色々な話をしました。
でもそんな幸せな時間は、長く続きませんでした。
魔王様が、お怒りになったのです。
魔王様は、カールに早く地獄に戻ってくるように言いました。
そして魔王様はカールの気持ちに気づいていたので、
「お前はこの迷宮に二度と入れないようにしてやる」と言いました。
悪魔は魔王様以外に心を奪われてはいけないのです。
ソロモンは、魔王様に、カールを連れて行かないでほしい、とお願いしました。
「カールか明かりか、どちらかしかやれぬ。それにもし、カールがお前のものになるのなら、カールは悪魔ではなくなる」
と魔王様は言いました。悪魔以外は扉からしか迷宮をでられませんから、カールが悪魔でなくなると、カールもソロモンと同様、ずっと迷宮の中にいることになります。
ソロモンは迷わず言いました。
「カールをください」と。
お前、いいのか。でられなくなるぞ。とカールは叫びました。
「明かりをもらっても、でられる保証はありません。それに僕は、君とずっと一緒にいたいんです。迷宮からでても、君がいなくては意味が無い…。僕は、君と生きることを選びます。君が、僕の光なんです」
ソロモンはカールに微笑んで言いました。
魔王様は、カールに、
「お前はそれでいいのか」
と聞きました。
カールは、静かに頷きました。
魔王様は明かりを持っていき、カールを残していきました。
カールは悪魔で無くなってしまったので、
カールもソロモンが見えなくなってしまいました。
どこまでも真っ暗な、闇の中。
「カール、どこにいるんですか?カール?」
ここだ、とカールが言うと、ソロモンはもの凄い勢いでカールに抱きつきました。
「こうしていれば、ここにいること、わかりますよね」
二人は、光の届かない暗闇の中で生きていきました。
でも、二人とも寂しくありませんでした。
ええ、ちっとも。
「んっ………」
窓から朝の光が差し込む中、ソロモンは目を覚ました。
隣ではカールが寝ている。結ばれていない黒髪が、ベッドに広がっている。カールの向こう側には、ソロモンのハロウィンの衣装が、畳んで置いてあった。
「…夢…?」
そう呟くと、カールがゆっくりと瞳を開けた。
「…起きたのか…」
「カール、僕、いい夢を見たんですよ」
にこやかに言うソロモン。
「……迷宮に閉じ込められた夢でもみたか?」
眠そうにカールはそう言った。
「え?」と、不思議そうな顔をするソロモンを尻目に、カールは再び眠りについた。
「カール。……ありがとう」
ソロモンは、そっとカールの唇に自分のものを重ねた。
君が、僕の光なんです。
END
魔王様誰だろう……?
元ネタはここ↓の「ジャックオーランタンの話」から。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F%E3%83%AD%E3%82%A6%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%83%B3
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2006/04/23
「Trick or treat!」と多少リンクしています(本当に多少)。
痒い、痒いですよ。後半は特に。
かぼちゃの夜の夢
ソロモンは、とっても悪い人でした。平気で人に嘘をついたり、裏切ったりする極悪人で、ついに天国からも、地獄からも、仲間からも締め出されてしまいました。
『光のない迷宮の中を永久に彷徨うがいい』
ソロモンは、迷宮に閉じ込められてしまいました。
そして真っ暗な闇の中を、たった一人で生きていくことになりました。
何十年、何百年たったのかわかりません。
ずっとずっと、一人でした。
寂しさだとか、孤独だとか。
そんなものを一度も感じたことがなかったはずなのに、
ソロモンは「誰か」にいて欲しくて堪らなくなりました。
その様子を、悪魔の一人、カールがずっと眺めていました。
悪魔は、迷宮をどこからでも自由自在に入ることができました。
カールは偶然、迷宮を飛び回っていた時に、ソロモンを見つけたのです。
悪魔達は全く光の無い闇の中でも、ものを見ることができます。
闇の中で孤独に耐え続けるソロモンを見て、カールはなんだかソロモンが哀れに思えてきたのです。
カールが話しかけると、ソロモンはとても驚きました。
ソロモンからはカールが全く見えないので、カールは「ここだ」と言ってソロモンの手を握ってやりました。
ソロモンは話し相手ができてとても嬉しそうでした。
二人は、色んな話をしました。
そして、カールは迷宮の秘密をこっそり教えてあげました。
この迷宮は、たとえ出口にたどり着いても、ドアを光で照らさない限り、ドアが開くことはない。そして、悪魔以外は扉からでることでしか、この迷宮からでられないのだ、と。
「明かりを持ってきてやる。あとは自分でなんとかしろ」とカール言いました。カールは一度地獄へ帰りました。決して消えることない地獄の炎をランタンの中に入れて、それをソロモンに渡そうとしました。
するとソロモンは、「明かりはいらないからあなたがほしい」と言いました。
聞いてなかったのか。明かりがないとドアは開かないんだぞ。
地獄の仕事もある、いつまでもここにはいられない。
それに明かりがいらないなら何故先に言わなかったんだ、とカールが言うと、
「ほんの一度でいいから、あなたの顔が見たかったんです…明かりがないと見られないでしょう?」
とソロモンは言いました。
「でも、あなたが明かりを取りに行っている間、本当に寂しかったんです。…もうあんな思いはしたくありません」
と、泣きそうな声で言いました。
一人ぼっちのソロモンがあまりにも可哀相だったので、カールはソロモンと、もう少しだけ一緒にいてあげることにしました。
暖かい光に照らされて、二人は色々な話をしました。
でもそんな幸せな時間は、長く続きませんでした。
魔王様が、お怒りになったのです。
魔王様は、カールに早く地獄に戻ってくるように言いました。
そして魔王様はカールの気持ちに気づいていたので、
「お前はこの迷宮に二度と入れないようにしてやる」と言いました。
悪魔は魔王様以外に心を奪われてはいけないのです。
ソロモンは、魔王様に、カールを連れて行かないでほしい、とお願いしました。
「カールか明かりか、どちらかしかやれぬ。それにもし、カールがお前のものになるのなら、カールは悪魔ではなくなる」
と魔王様は言いました。悪魔以外は扉からしか迷宮をでられませんから、カールが悪魔でなくなると、カールもソロモンと同様、ずっと迷宮の中にいることになります。
ソロモンは迷わず言いました。
「カールをください」と。
お前、いいのか。でられなくなるぞ。とカールは叫びました。
「明かりをもらっても、でられる保証はありません。それに僕は、君とずっと一緒にいたいんです。迷宮からでても、君がいなくては意味が無い…。僕は、君と生きることを選びます。君が、僕の光なんです」
ソロモンはカールに微笑んで言いました。
魔王様は、カールに、
「お前はそれでいいのか」
と聞きました。
カールは、静かに頷きました。
魔王様は明かりを持っていき、カールを残していきました。
カールは悪魔で無くなってしまったので、
カールもソロモンが見えなくなってしまいました。
どこまでも真っ暗な、闇の中。
「カール、どこにいるんですか?カール?」
ここだ、とカールが言うと、ソロモンはもの凄い勢いでカールに抱きつきました。
「こうしていれば、ここにいること、わかりますよね」
二人は、光の届かない暗闇の中で生きていきました。
でも、二人とも寂しくありませんでした。
ええ、ちっとも。
「んっ………」
窓から朝の光が差し込む中、ソロモンは目を覚ました。
隣ではカールが寝ている。結ばれていない黒髪が、ベッドに広がっている。カールの向こう側には、ソロモンのハロウィンの衣装が、畳んで置いてあった。
「…夢…?」
そう呟くと、カールがゆっくりと瞳を開けた。
「…起きたのか…」
「カール、僕、いい夢を見たんですよ」
にこやかに言うソロモン。
「……迷宮に閉じ込められた夢でもみたか?」
眠そうにカールはそう言った。
「え?」と、不思議そうな顔をするソロモンを尻目に、カールは再び眠りについた。
「カール。……ありがとう」
ソロモンは、そっとカールの唇に自分のものを重ねた。
君が、僕の光なんです。
END
魔王様誰だろう……?
元ネタはここ↓の「ジャックオーランタンの話」から。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F%E3%83%AD%E3%82%A6%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%83%B3
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2006/04/23
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