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はろうぃ~んなソロカルSSです。なんとも季節外れ。

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Trick or treat!



森の奥にある、とある村。
暖かい色の明かりが所々で闇を照らしていた。いくつかの家では戸口にジャック・オー・ランタンが置かれている。南瓜の顔は、家ごとにだいぶ個性があり、笑っているものから、今にも泣き出しそうなたれ目の南瓜まで色々とあった。
いつもなら静まり返る時間なのだが、今はあちこちから、子ども達の賑やかな笑い声が聞こえている。
カールは村の端にある家の玄関口で、戸を開けたまま凍りついていた。
「お菓子ください」
さも当たり前の言う目の前の男は、にっこりと微笑んで手を差し出した。
男は、目の周りはかなり範囲の広い黒のアイメイク、首に赤いチョーカー、顔の左半分が隠れるようになっている派手な帽子(しかも何箇所かに髑髏のマークがある)に、ところどころが意図的に破られている死神を思わせる黒を基調としたローブ姿だった。腕や足の裾の辺りは、赤、紫、緑、青、黄色と派手な色になっている 両腕には金色の鎖のようなものがまかれ、そこから垂れ下がった宝石類が、動くたびにじゃらじゃらと音を立てる。ダークブラウンをしたロングブーツは、丁寧にファスナーにまで、ジャック・オー・ランタンのアクセサリーがつけられていた。
カールは一度ばたんとドアを閉め、手に持っていたお菓子でいっぱいの籠を、リビングのテーブルに置いた。
それからまたドアを開けると、ソロモンは手を差し出したままの格好で待っていた。
「おか……」
また同じことを言おうとしたソロモンの腕を、カールは力の限りで引っ張り、ソロモンを家に入れると、これまた全力でドアを閉じた。
カールは震えながら、ソロモンの両肩に手を置いた。
今なら肩を握りつぶせるかもしれない、という考えが脳裏に浮かぶ。
「何をしにきた……」
地から這い出てくるようなカールの声に、
「お菓子をもらいにきました…くれないんですか?」
ソロモンは不思議そうに答える。
「あんなにたくさんあるんですから、少しぐらい……」
リビングの籠を指差すソロモン。
「あれは……」
カールが言おうと瞬間、ノックの音がした。
「お前は奥に行っていろ!」
そうソロモンに言うと、急いで籠をとり、カールは玄関を開けた。
今度は予想通り、様々な仮装姿をした数人の子ども達が、
「お菓子をくれないと悪戯するぞ~」
だとか、「お菓子お菓子~」「フェイオンさんお菓子~」「何あるの~」と楽しそうにお菓子を催促してきた。
カールは爽やかに微笑みながら、子ども一人一人の名を呼んで、お菓子を手渡す。
「よっし悪戯はあきらめてやろ~」「やろ~!」
と口々に言う子ども達にカールは、
「あまり遅くならないようにしてくださいね」
とジェームズあたりが見たら驚愕で卒倒しそうな微笑みで言った。
「わかった~」「ありがと~」「おやすみなさ~い」
 と、目的を終えた子ども達はすぐに次の標的の家へと去って行った。

「ふぅ……」
 とりあえずこれで最後の組のはずだ。
 カールは安堵のため息をつきながら、ドアを閉めた。
 リビングのソファに座ると、奥の方にいたソロモンが、
「カールってあんなに優しい声だすんですね」
 と言いながら、カールの隣に座った。もちろん先程の格好のままだ。
「…自分で作ったのか?」
 微笑む演技はとりあえず今日は終わりということで、怒る気が失せたのか、カールは興味深げに死神ローブの腕の裾あたりを掴む。
「ええ、デザインはネイサンに少し手伝ってもらったんですけど」
 そうか、と言いながらカールはやけに凝った腕の鎖などを見て、
「これはどっちが考えた?」
「鎖を巻くのは僕が。下がってるじゃらじゃらはネイサンが」
「………」
 黙って真剣にソロモンのファッションを見つめるカールに、
「カール、仮装好きだったんでしょう?」
 とソロモンは微笑ましげに聞く。
「……シュヴァリエになる前の話だ……」
「…今もでしょう?」
 カールはそれには答えず、ソロモンの帽子を見上げた。
「ねぇ、カール」
「…なんだ?」
 帽子に気を取られて上の空のカールに、
「お菓子ください」
 ソロモンは玄関口で言った時と全く同じトーンで言った。
「お前にやる菓子は無い」
「へぇぇぇぇぇぇぇぇ………」
 ソロモンは心の底から楽しそうに言いながら、右手でカールの頬にふれた。
「知ってますよねカール?お菓子をあげなかったら、悪戯されちゃうんですよ?」
「知ってる」
 カールは籠の底にたった一つ残っていた飴玉を、手を伸ばして取った。
「Trick or treat.(お菓子をくれないと悪戯しますよ)」
 ソロモンがカールの背中に手を廻しながら言うと、カールは、
「As you wish」
 そう言って、包みを開けた飴玉を口の中に放り込んだ。
「これはこれは……」
 ソロモンは嬉しそうに微笑んで、
『徹底的に悪戯しないといけませんね』
 カールの頭にそんな声を響かせ、そして口付けた。舌を差し入れれば飴の甘い味。飴玉がなくなるまで、互いにそれを転がした。




END




ソロモンがメイクをとらない限りはカールが続きをさせてくれません。
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2006/04/21
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