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地獄への組曲 6 


 
 やはり、夢の『彼』はソロモンなのだ。

 夢の外でも、あの黒い湖の水が見える。時折、ソロモンの顔をよぎっていく。疲れているのだろう、と思うのだが、やはりそれ以外の何かのような気もする。
 触れれば、そこから体中が凍り付いてしまいそうな、冷たい闇。
 孤独、自己憐憫、怒り、哀しみ。そのどれでもあって、どれでもないような、深い深い闇。
 奴の言葉に、奴の態度にそれらが現われた時、私は何もできず、「大丈夫か?」と声をかけるのが精一杯だった。声をかければ、奴は闇を振り払うようにして、いつもの笑顔をはりつける。
「大丈夫です」
「少し考え事をしていて…」
 私は夢の中で、黒い湖を覗き込んでみた。
 怖かった。ただ、何かわかるかもしれないと思って、私は恐怖に耐えながら、「何か」が来るのを待った。
 …聞こえた。何かに押し潰されそうになりながら、その苦痛に悶える声が。啜り泣く声が。
 ……お前は一体、何に押し潰されそうになっているんだ?

 訊いてみた。だが誰も答えてはくれない。
 たまに何処かから返答があったにしても、壊れた蓄音機のように何度も、
「ダイジョウブデス…ダイジョウブデス…」
 という言葉が繰り返されるだけなのだ。

 ソロモン。お前の抱えている物を、私は背負って歩くことは出来ないのかもしれない。
 ならせめて、私といる時だけは、その荷物をおろしたらどうだ?




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