×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
21話のソロモン+20話のシフ戦闘後、水面を見てる時のソロモン。
ソロカルなおかつソロ→アンシェル前提(わかりにくくてすみません)
でもでてくるのはソロモンだけです。
------------------------------
What does your soul say?
のどかな田舎道を、高級車が走っていた。
周囲にはそろそろ収穫の近そうな小麦畑が広がり、時折思い出したようにそよ風に揺れる。初めて見れば「のどかでよい」と思えるこの風景も、
そこを何時間も走っている運転手にとってみれば、退屈なだけだった。
先程からずっと変わらない風景の中、運転手は思索に耽っている。
小麦畑が始まる頃は焦燥で溢れそうになっていた頭も、今ではすっかり落ち着きを取り戻し、知り合いのことを思い出しては口元に微苦笑を浮かべることさえあった。
「しょうがないのはカールだけではないようですね…」
誰に聞かせるわけでもなくそう言いながら、運転手――ソロモン=ゴールドスミスはこの短い旅の発端に思いを馳せることにした。
*
『……ねぇ、カール?』
クセのある金髪の自分の姿が映る水面を見つめながら、いつもそうしていたように、問う。いつもと違うのは、その相手が今どことも知れぬ空の下だということ。当たり前のように返ってこない答えに、ソロモンは自嘲気味に口元を歪める。
カールを除く4人のシュヴァリエが、今後の方策を話すために集まり、解散したのがつい先ほど。あの場にカールがいたら、どう反応しただろうかと思う。
DIVAに向ける感情も、SAYAへの愛憎も激しい彼のこと。長兄の方針には賛同したかもしれないが、その方法には反対したかもしれない。
殺すなら、自分のやり方で手を下すと。
「彼」が忠実なのは、長兄ではなく、「彼」自身。なんであれ、彼自身の意にそぐわない方策に賛同したとは思えない。
「長兄の意志は自分の意志である」と発言したソロモンとは対極の態度で。
『シュヴァリエとしての望みか。それともお前個人の望みか』
ベトナムでのあの問いに、「両方です」と躊躇なく答えられたのは、
相手がカールだったからだろうか。
『お前はどうしたいんだ』
もし今、彼がそう聞いてくれたら。自分はなんと答えるのだろうか。
「…兄さん…」
……カールとさえ会わなければ。
自分は今頃、長兄アンシェルの意になんの躊躇もなく合意できていたのかもしれない。こんな風に、一人で迷うことなく。
――兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん。
――SAYA……。
「…兄さん…」
そう呟く自分の表情を、水面は風に揺られて映すのを拒み、落ちてきた一粒の水滴を容赦なく飲み込む。
わかっているのだ。両方を選ぶことはできないと。片方を捨てるしかないと。
『お前はどうしたいんだ』
何度痛い目にあおうが、自分の本能に従うカール。
それは彼の最大の長所であり、最大の短所でもある。
彼のような生き方を知ってしまってから、自分はもう、戻れないところまで来てしまったのかもしれない。
選ぶしかないのだ。どちらかを。
「…兄さん…」
そう小さく呟いてから、瞳をとじてそのまま、ソロモンは顔を上げた。冷たい風が首筋をなでていく。
『お前はどうしたいんだ』
何も見えない中で、その声だけが繰り返し繰り返し、自分の中で鳴り響く。その声が聞こえなくなった時、ゆっくりと瞳を開いた。その先には、ぼんやりと光る月が空に浮かんでいた。
「兄さん……僕は、SAYAに会いに行きます」
言い切った瞬間。月が滲んで見えた。
月は、いつもと変わらずに見つめ返していたのに。
*
「そろそろ…ですね」
ソロモンはまっすぐ前を見据えた。
小麦畑が終わるその先に、全ての始まりの場所である『動物園』が見える。決断した先に、何が待っているかはわからない。それでも、もう、ソロモンに引き返すという選択肢は残されていなかった。
END
こんな風にしか生きれない、笑って頷いてくれるだろう。君なら。
戻る
ソロカルなおかつソロ→アンシェル前提(わかりにくくてすみません)
でもでてくるのはソロモンだけです。
------------------------------
What does your soul say?
のどかな田舎道を、高級車が走っていた。
周囲にはそろそろ収穫の近そうな小麦畑が広がり、時折思い出したようにそよ風に揺れる。初めて見れば「のどかでよい」と思えるこの風景も、
そこを何時間も走っている運転手にとってみれば、退屈なだけだった。
先程からずっと変わらない風景の中、運転手は思索に耽っている。
小麦畑が始まる頃は焦燥で溢れそうになっていた頭も、今ではすっかり落ち着きを取り戻し、知り合いのことを思い出しては口元に微苦笑を浮かべることさえあった。
「しょうがないのはカールだけではないようですね…」
誰に聞かせるわけでもなくそう言いながら、運転手――ソロモン=ゴールドスミスはこの短い旅の発端に思いを馳せることにした。
*
『……ねぇ、カール?』
クセのある金髪の自分の姿が映る水面を見つめながら、いつもそうしていたように、問う。いつもと違うのは、その相手が今どことも知れぬ空の下だということ。当たり前のように返ってこない答えに、ソロモンは自嘲気味に口元を歪める。
カールを除く4人のシュヴァリエが、今後の方策を話すために集まり、解散したのがつい先ほど。あの場にカールがいたら、どう反応しただろうかと思う。
DIVAに向ける感情も、SAYAへの愛憎も激しい彼のこと。長兄の方針には賛同したかもしれないが、その方法には反対したかもしれない。
殺すなら、自分のやり方で手を下すと。
「彼」が忠実なのは、長兄ではなく、「彼」自身。なんであれ、彼自身の意にそぐわない方策に賛同したとは思えない。
「長兄の意志は自分の意志である」と発言したソロモンとは対極の態度で。
『シュヴァリエとしての望みか。それともお前個人の望みか』
ベトナムでのあの問いに、「両方です」と躊躇なく答えられたのは、
相手がカールだったからだろうか。
『お前はどうしたいんだ』
もし今、彼がそう聞いてくれたら。自分はなんと答えるのだろうか。
「…兄さん…」
……カールとさえ会わなければ。
自分は今頃、長兄アンシェルの意になんの躊躇もなく合意できていたのかもしれない。こんな風に、一人で迷うことなく。
――兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん。
――SAYA……。
「…兄さん…」
そう呟く自分の表情を、水面は風に揺られて映すのを拒み、落ちてきた一粒の水滴を容赦なく飲み込む。
わかっているのだ。両方を選ぶことはできないと。片方を捨てるしかないと。
『お前はどうしたいんだ』
何度痛い目にあおうが、自分の本能に従うカール。
それは彼の最大の長所であり、最大の短所でもある。
彼のような生き方を知ってしまってから、自分はもう、戻れないところまで来てしまったのかもしれない。
選ぶしかないのだ。どちらかを。
「…兄さん…」
そう小さく呟いてから、瞳をとじてそのまま、ソロモンは顔を上げた。冷たい風が首筋をなでていく。
『お前はどうしたいんだ』
何も見えない中で、その声だけが繰り返し繰り返し、自分の中で鳴り響く。その声が聞こえなくなった時、ゆっくりと瞳を開いた。その先には、ぼんやりと光る月が空に浮かんでいた。
「兄さん……僕は、SAYAに会いに行きます」
言い切った瞬間。月が滲んで見えた。
月は、いつもと変わらずに見つめ返していたのに。
*
「そろそろ…ですね」
ソロモンはまっすぐ前を見据えた。
小麦畑が終わるその先に、全ての始まりの場所である『動物園』が見える。決断した先に、何が待っているかはわからない。それでも、もう、ソロモンに引き返すという選択肢は残されていなかった。
END
こんな風にしか生きれない、笑って頷いてくれるだろう。君なら。
戻る
PR